新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )パンデミックが始まって2年が経過しました。感染症の専門家を除く日本人にとって未知のウイルスであったため、国内で初の感染者が発表されるや、当初は見えない病原体への恐怖から街中の通りから人影が消え、早朝から不織布マスクを求めてドラッグストアの前に並ぶ高齢者の姿が目立ちました。感染者が発生した家庭は、誰が何処から入手した情報なのか、SNS上で不当に誹謗中傷されるなど、偏見に満ちた不寛容が浮き彫りにされました。また、今回のパンデミックでわが国の様々な脆弱性が明らかになりました。不織布マスクをはじめ、半導体など工業用部品のサプライチェーンの脆弱性、航空機時代の検疫体制や保健所機能の脆弱性、新規感染症に対応できない病院機能分化の脆弱性、政府の危機対応力の脆弱性などが露呈しました。
中でも、クラスターが発生した精神科病院の実情を伺うと、感染した患者さんを引き受けていただける病院探しに苦慮したこと、発生現場で指揮を執る感染症対応チームの応援が得られなかったことなどが課題として浮かび上がりました。
幸い、姫路北病院ではこれまで感染患者はゼロで推移していますが、明日は我が身の覚悟で気を緩めることなく院内感染対策に邁進していく所存です。今後も引き続きご理解とご協力をお願いいたします。
医療法人 内海慈仁会 姫路北病院
院長 西野 直樹